パーキンソン病とは、自律神経の中枢と言われる中脳の黒質・青班核・迷走神経背側核といったメラニン含有神経細胞の変性や脱落によって発症する病気です。

1817年にジェームズ・パーキンソン医師による初めての報告により、この病名が付けられました。

パーキンソン病の症状

脳が出している運動の指令が思うように伝達されず、体の動作がスムーズにいかなくなるという症状が出てきます。
通常であればメラニン含有神経細胞にて作られる情報伝達物質ドーパミンを使用して、各中枢間での伝達が行われるのですが、ドーパミンが減少することにより伝達がうまくいかず、結果として四肢の動きが悪くなるのです。

メラニン含有細胞が変性・脱落する原因はまだはっきりとは解明されておらず、通常は症状悪化となっていきます。
障害として体・四肢のみならず、自律神経のコントロールを受けている直腸・膀胱の動きにも大きな影響を及ぼすことが分かっています。

排尿障害となるメカニズム

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パーキンソン病は約60~80%が膀胱に症状が出ているという報告結果があります。頻尿から始まり、排尿困難・残尿感・尿失禁といったさまざまな排尿障害に見舞われることが多いです。
病期や体質によりその症状は異なっており、排出障害でも時期によりその症状が色々と定まることがないと言われています。

膀胱に尿が溜まった時、通常は膀胱の筋肉が伸びて、その刺激により排尿を促す指令が脳より出されます。
これが排尿反射と呼ばれるもので、そこに脳が排尿のタイミングを計るコントロールをして初めて、排尿がスムーズに行われています。

パーキンソン病により排尿を支配している大脳・脳幹の神経がダメージを受けた場合、膀胱に尿が溜まった時に必要となる膀胱・尿道の筋肉の動きが正常に働かず、排尿コントロールがうまくいかなくなってしまいます。
このような神経系のトラブルによる排尿障害のことを神経因性膀胱と呼びます。結果として尿が体内に蓄積され膀胱炎に繋がることもあります。

また、この神経因性膀胱を発症すると、尿意切迫感や頻尿・失禁といった過活動膀胱という障害をも引き起こすことがあります。
これは無意識下で勝手に膀胱が収縮することにより頻尿などになってしまうのです。

傾向と対策

排尿障害が現れ始めたら、どんどん悪化していく前にすぐにでも対策を講じましょう。

対策方法の一つとしてバルーンカテーテルというものがあります。排泄障害の場合に、尿道口からカテーテルを通して体外へ尿を導く方法です。
排尿機能が低下する前に、間欠的導尿に切り替えることがポイントです。

膀胱に尿を溜めたり出したりということを意識的に繰り返すことにより、膀胱の筋肉機能が徐々に回復していきます。
共に排泄レベルも上げていくことにより、本人や介護者の心理的・身体的負担も軽減されていきます。