19世紀末、北米に移住してきたヨーロッパの人たちが、インディアンが利尿剤や、強壮剤として使っていたことから研究を始めたとされるノコギリヤシは、薬効成分がある部位は果実のヤシ科のハーブですが、やがてこのハーブは、頻尿などの改善に役立つことが判明していきました。
そのため、男性が加齢とともに増えてくる、トイレが近い、トイレが我慢できない、尿が出にくいなどのオシッコのトラブルは、前立腺肥大症が原因である場合が多いことから、ヨーロッパ諸国では、この問題の解決に、研究を続けていたノコギリヤシを治療薬として用いるようになり、多くの成果を生み出しています。
ノコギリヤシは治療薬としても使用されている
日本では、ノコギリヤシは、サプリメントや健康食品として扱われていますが、ヨーロッパ諸国では、多くの国で医薬品として認定され、特に、男性特有の病気である前立腺肥大症や前立腺炎などの治療薬として使われていますが、近年、実のエキスは、特に副作用が少ないことから、ヨーロッパでは泌尿器科などから注目されています。
また、このヤシ科のハーブには、多くの脂肪酸が含有されていて、特にβ-シトステロール成分は、5α-リダクターゼと呼ばれる酵素の働きを阻止し、男性ホルモンのテストステロンが過度のジヒドロテストステロンの生成を抑制することから、前立腺肥大のほか、薄毛などの予防や改善にも役立つことが判明しています。
ノコギリヤシが前立腺肥大を予防する
前立腺は、男性特有の生殖器で、クルミほどの大きさであり、膀胱の真下に位置していますが、そのなかには、尿道が通っていることから、前立腺に問題があると泌尿器系全体に影響が出るようになります。
特に、40歳代以降の中高年の男性では、前立腺が大きくなるという前立腺肥大が良くみられますが、日本人男性の60歳以上の人では、全体の6割が前立腺の肥大に悩んでいることが判明しています。
そのため、中高年男性にとって、前立腺の肥大は、多くの人が直面する辛い課題ともいえますが、ノコギリヤシは、この前立腺肥大の原因ともなるジヒドロテストステロンの生成を抑制するという作用があることがわかっています。
そして、前立腺の炎症を促進させる酵素を阻害する作用もあるので、若い男性に多い前立腺炎の予防にも効果が期待できます。また、前立腺炎や肥大では、尿道が圧迫されることで、頻尿や残尿感、尿が出にくいなどの排尿障害を起こすことがありますが、このヤシ科のハーブを摂取することで、これらの排尿障害を改善することも可能となります。
サプリメントの効果と注意点
前立腺は、精液の成分を分泌する働きがあるため、精力にも大きな影響を与えますが、前立腺炎や肥大によって機能が低下すると精液の量が少なくなったり、精液濃度が薄くなることがあります。
そして、前立腺の肥大は、勃起力にも影響を与え、EDの原因のひとつにもなりますが、ノコギリヤシの前立腺の肥大を予防、改善する効能により、肥大に伴う精液の質の低下やEDを改善したり、性欲増進など、精力全体をアップさせる効果も期待できます。
このようなノコギリヤシの摂取では、過剰摂取による副作用が引き起こされることもあるので、1日当たり320gを上限とし、効果を得るために、1~3ヶ月の継続摂取が必要とされていますが、このヤシ科のハーブは、一般的なハーブのなかでも、作用が穏やかであり、副作用が少なく、安全性が高いことでも知られています。