過活動膀胱とは「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近くなる」「急にトイレに行きたくなり、我慢しきれずおしっこが漏れてしまう」という症状の病気です。
多くの人がこの症状で悩んでおり、特に年を重ねるごとに患者さんは増えている傾向にあります。
トイレの悩みはなかなか人に相談しにくいものの、夜中何度もトイレに立って寝不足になってしまったり、トイレが気になって仕事や日常生活に支障をきたすようになっては大変です。思い切って医師に相談し、適切な治療を受けるのがベストです。
過活動膀胱の原因とは
おしっこを溜めたり体外に出したりという体の働きは、膀胱とその下にある尿道が行っていて、自律神経によって調整されています。
過活動膀胱の原因は、膀胱の筋肉である排尿筋が過敏になることで起こります。
本来であれば膀胱は一定の量の尿を溜めておくことができ、ある程度尿がたまってくると尿意を脳に伝えることで排尿を行います。
しかし過活動膀胱になっていまうと、尿がたまっていないのに尿意を発しやすくなるので、結果として頻尿が起こるのです。
主に使われる治療薬とは
女性で過活動膀胱の症状がある人によく処方されるのが抗コリン薬です。
尿を出すために膀胱を収縮させる信号をとして分泌されるのがアセチルコリンという物質です。このアセチルコリンの働きを弱めることで、膀胱の収縮を抑えることができます。
副作用としては口の渇きや便秘、目の調節障害などがあるので注意が必要です。これらの副作用を避ける為にβアドレナリン受容体作動薬という新しいものも開発されました。排尿筋をリラックスさせ、尿を溜めることができるようになります。
口の渇きや便秘といった副作用は起こりませんが、生殖可能年齢の患者は出来る限り服用を避けるよう警告されています。その為、主に中高年以上の年齢層への治療に使われます。
男性には別の薬が処方されることも
男性の過活動膀胱の場合、前立腺肥大症が隠れている場合が多くあります。
これは前立腺が肥大することで尿道の通りが悪くなり、おしっこの勢いが悪くなったり、出しにくくなったりします。
このような場合はαアドレナリン受容体阻害薬と呼ばれるものを使います。前立腺や尿道の平滑筋を緩ませることで、尿の通りを良くします。
抗コリン薬を使わないのは、前立腺肥大に対して使用が禁忌とされているからです。尿が出やすくなっても過活動膀胱の症状が治まらない場合は、別のものに切り替えて継続して治療を行います。