中年以降の男性の尿の悩みを改善する効果を期待できるということで人気を集めているノコギリヤシは、実は薄毛に対しても有効であることが判明しています。
特に、M字ハゲと呼ばれている生え際が後退するタイプや、頭頂部にお皿が載ったようになるO字ハゲに対しては効果的です。このような効果が何故期待できるのかについて、説明いたします。

ノコギリヤシの作用機序

ノコギリヤシは、アメリカ大陸の広い範囲に自生しているヤシ科の天然ハーブで、葉の部分がギザギザでノコギリの歯のような形態をしているということが名前の由来です。
先住民族のインディアンにより、食用や薬用、衣料など幅広い目的で愛用されてきた歴史を持っています

なお、この天然ハーブの果実には、有効成分を豊富に含んでいることが現代では明らかになっており、欧州連合では前立腺肥大の治療薬として承認されています。作用機序は、前立腺肥大を引き起こす原因物質の生産に関与している5α-reductaseという還元酵素を阻害するというもので、これにより症状の進行を緩和します。

M字ハゲに効果を発揮する理由

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ノコギリヤシが生産を抑制するDHTは、前立腺肥大と共にAGAを引き起こすことから悪玉男性ホルモンとも呼ばれている物質です。AGAは、男性の薄毛の90%以上を占めている症状で、生え際から頭頂部までの髪の毛が軟毛化することを特徴としています。

これは、この部分の毛根にⅡ型5α-reductaseが分布しているために、DHTの影響を強く受けてしまうからです。ちなみに、生え際が後退するタイプの薄毛は、額がアルファベットのMの様な形になるということで、M字ハゲと呼ばれています。

ノコギリヤシがM字ハゲに効果を発揮するのは、5α-reductaseの酵素活性を阻害することにより、DHTの生産量が抑制されるからです。なお、このような仕組みをさらにスムーズにしたのが、飲む育毛剤として知られているプロペシアです。

ノコギリヤシとプロペシアの違い

プロペシアは、ノコギリヤシをモデルに開発された抗アンドロゲン訳であり、5α-reductaseの活性を阻害することを目的としていることは共通しています。

ただし、より効率的に作用するために改善されており、生え際から頭頂部にかけての毛根内部と前立腺に存在しているⅡ型の5α-reductaseの活性のみ阻害します。これに対して、ノコギリヤシはⅠ型も阻害するので、作用が拡散してしまう可能性があります。