ノコギリヤシエキスは、AGA治療薬プロペシアのモデルとなった成分で、作用機序は非常に類似しています。ただし、全く同じというわけではないので、使用する際に注意すべきポイントについて説明いたします。

ノコギリヤシの作用機序

ノコギリヤシの果実には、植物ステロールという成分を豊富に含んでいます
この成分は、第7の栄養素とも呼ばれており、年齢を重ねるにつれて発症頻度が高くなる生活習慣病に対しての予防と改善の効果を期待できます。その中には、特に更年期世代の男性の多くが悩んでいるAGAと前立腺肥大も含まれています。

これらの症状に対しての植物ステロールの作用機序は、5α還元酵素の活性を阻害することにより、原因物質DHTの生産を抑制するというものです。つまり、根本的な原因にアプローチするというもので、症状の進行を緩和します。このような効果はEU諸国では伝統生薬製剤の欧州指令により医学的効果を承認しており、前立腺肥大の治療薬として医療現場で使用されています。

AGA治療薬とノコギリヤシ

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ノコギリヤシの有効成分植物ステロールをモデルにして、アメリカで開発されたのがfinasterideという抗アンドロゲン薬です。このfinasterideは、前立腺肥大の治療薬として5㎎錠で承認されたのちに、身体への負担を軽くするために1㎎錠の研究が進められることになります。

この研究途上で男性型脱毛症に対しての効果が発見されたために、こちらを適応症とした治療薬として提供されることになります。これが、後に飲む育毛剤と呼ばれるAGA治療薬プロペシアが誕生した背景です。

ちなみに、プロペシアと植物ステロールの作用機序は類似していますが、全てが同じというわけではありません。具体的には、プロペシアは生え際から頭頂部にかけての毛根内部と前立腺に存在しているⅡ型の5α還元酵素に作用するのですが、植物ステロールは皮脂腺に存在しているⅠ型の活性も阻害します。

AGAや前立腺肥大に関係しているのはⅡ型と考えられているので、プロペシアの方が効率的に作用するということになります。

ノコギリヤシをAGA治療に使用するポイント

AGA治療薬のプロペシアを使用していて効果を感じている場合は、あえてノコギリヤシを併用する必要はありません。これは、Ⅱ型の5α還元酵素に対しての作用はプロペシアの方が強力だからです。

ただし、プロペシアが効いていないような場合は、Ⅰ型が関係している可能性があるので、ノコギリヤシを服用することで状況が改善する可能性があります
特に、オイリーなタイプの人にはチャンスがあります。何故なら、Ⅰ型の5α還元酵素の作用により皮脂腺が活性化していると推測されるからです。つまり、皮脂の状態が使用するポイントになるということです。