男性向けのサプリメントとして人気を集めているノコギリヤシは、北米南東部に自生しているヤシ科のハーブの一種です。当地の先住民族ネイティブアメリカンからは古くより精力剤として利用されてきた歴史を持っており、その薬効については科学的にも明らかになっています。
医薬品としても利用されています
このために、ドイツやフランスなどの欧米諸国では、ノコギリヤシは医薬品として使用されています。
ちなみに、ノコギリヤシによる作用は、果実の部分に含まれているphytosterolによるものです。
この成分は、5αーreductaseという還元酵素を阻害するという作用があり、これにより男性ホルモンのDHTを抑制します。DHTは、前立腺を肥大させるという作用を発揮する物質で、中年以降の男性の尿の悩みの原因を作り出します。このために、ノコギリヤシを服用することにより、このような問題が解消されることになります。
なお、このようなノコギリヤシによる効果は、日本では現在のところ承認されていない状況です。これは、規模の小さいもの以外では臨床試験で好ましい結果が出ていないためです。
安心出来る健康食品
たとえば、2011年にアメリカ合衆国国立補完統合衛生センターが高齢男性369名を対象として行った臨床試験では、標準日用量の3倍の320ミリグラム投与してもプラセボ群との有意な差異を確認することが出来ませんでした。このために、現在提供されている商品は医薬品ではなく、全て健康食品としての取り扱いです。
一方、胃の不快感などの軽度な症状は報告されていますが、副作用の危険はないとみて間違いないようです。厚生労働省による情報発信サイトでも、認容性が高いと表現されており、重度の症状を引き起こすリスクはほぼありません。
このように、全体的にマイルドな印象のノコギリヤシですが、ネイティブアメリカンにより男性の強壮目的で利用されてきたことは間違いないので、精力剤として全く無効というわけではありません。
飲み続ける事が大切です
それでは、これはどのような作用によるものなのかというと、直接的に性機能を改善するのではなく、夜間頻尿などの前立腺肥大由来の症状が改善されることにより、睡眠の質が向上するなどで体力がアップするのではないでしょうか。
この辺りは、推測の域を出ませんが、少なくとも何かを犠牲にして性機能が向上するという内容ではないようです。このために、ノコギリヤシによる精力剤としての効果は、前立腺肥大を対象としたもの同様にマイルドに作用するので、ある程度の期間は続けるようにするのが適当な使用法と言えます。