男性ホルモンのtestosteroneは、筋肉や骨格の形成に関与している物質であり、思春期に分泌量が急増します。そして、この内の一部が5α -reductaseという還元酵素に変換されて作り出されるのがdihydrotestosterone(DHT)という物質です。

このDHTは、男性性器を発育させるというのが主な役割ですが、頭部の毛根の内部に存在している毛乳頭細胞の受容体と結合した場合には、ヘアサイクルが狂わされてしまいます。

日本人の3割の症状

これは、受容体の感受性が発症を左右すると推測されており、遺伝的な要因により決定されます。日本人の場合は、男性の約30パーセントに見られる症状で、生え際から頭頂部にかけての毛髪が軟毛化することが特徴です。具体的には、中年以降の男性に多く見られるO字ハゲやM字ハゲと呼ばれている薄毛のことです。

このDHTが原因で進行する薄毛は、AGAと呼ばれています。
この症状に対して、進行を防止する効果があるのがアメリカ大陸に自生している天然ハーブのノコギリヤシと、セックスミネラルとも表現される亜鉛です。

これらによるAGAに対しての効果は科学的にも承認されているのですが、その内容については間違った解釈で理解しているケースが少なくはありません。

女性化は嘘

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特に良く耳にするのが、ノコギリヤシや亜鉛によりAGAが改善されるのは、女性化したからだというものです。これは、AGAが(男性ホルモン型脱毛症と呼ばれていることが関係しています。実際に、AGAの進行を防止するために、抗男性ホルモン薬のSpironolactoneを使用するという療法もあるので、これとの混同と考えられます。

しかし、これは全く根拠のないウソで、ノコギリヤシや亜鉛により女性化することはありません。何故なら、これらの成分はDHTに対して直接アプローチするのではなく、生産に関与している5α -reductaseの活性を阻害するというのが具体的な作用だからです。

また、元になっているtestosteroneに対しても影響しないので、女性化するということは全くのウソと断言できます

使う際の注意

なお、この様なウソはノコギリヤシや亜鉛のDHTに対しての作用機序を理解していれば惑わされることはありません。このために、薄毛に効果的だというだけで闇雲に飛びつくのではなく、内容を理解したうえでの使用を心がけなくてはなりません。

なお、女性化同様に良く耳にするのが、ノコギリヤシには発毛効果があるというものです。しかし、残念ながらこれもウソで、AGA以外の薄毛には効果はありません。これは、頭皮や頭髪に対しての直接の作用はないからです。